「……ジュリアお嬢様にも、そして執事の彼にも、私はとてもよくしていただきました」

私の背中をごつごつとした手で何度もさすりながら、サムが語る。

「……昔、お庭を走って転んだお嬢様を助け起こした彼はナイトのようで、私は二人が幸せであればと願わずにはいられませんでした」

「……そんな幼い頃から、私たちの想いに気づいていたの?」

あの頃は、自分ですらまだ愛なんて知らずにいたのにと思う。

「ええ…年の功ですよ。お二人の思いが通じ合っていることは、お見通しでした」

言って、穏やかな笑みを浮かべるのに、頬がにわかに熱くもなるようだった。