ーー舞踏会には、付き添いで執事を連れて行くことになっていた。

そのため、リュートもいつもよりドレスアップをする。

私には、それが楽しみだった。

舞踏会が開かれる時刻が迫って、用意を整えたリュートが迎えに現れる。

「……お嬢様、参りましょうか」

ホワイトグレーのタキシードを着たリュートが、手を差し伸べる。

「……似合いすぎよ…リュート。美男すぎるわ……」

思わず、ため息が零れ出る。

「……左様でございますか、お嬢様」

「……そんな口のきき方しか、できないの?」

軽くあしらわれているようにも感じて、口ぶりに嫌味が混じる。