明からさまにムッとするキースに、
「…あ、ハハ、そんな恐い顔をせずとも、君の大事な奥方を誘ったりなどしないよ」
その場を取り繕って離れていくのに、
「……ふん、何が誘惑だ…」
と、キースが呟いて、私へ顔を向けると、
「……おまえは、所詮誰にでも誘惑されるような女なのだな…」
少しも笑っていない表情で言って、
「……他を回ってくる」
と、あっさりとつかんでいた腰の手をはずした。
……彼が、私を許すことはない。
改めてその憎しみの深さを感じて、そこに立ちすくむしかなかった……。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…