……リュートは、いつもそうして私を上手くはぐらかした。
けれど、彼にも私と同じ気持ちがあるだろうことは、その言動からなんとなく感じ取っていた……。
ただ、一方でそれを口には出せないだろうことも、わかり切っていた。
……わかっていて、私は、彼に尚も聞きたかったのだ。
「リュートは、私を愛してるの?」
と……。
きっと、聞いても彼は答えてはくれないのに違いなかった。
ーー鏡の中に、舞踏会へ行くためのドレスに着替えさせられる自分の姿が映る。
その顔をぼんやりと見つめ返しながら、
(どうして、リュートとは一緒になれないの……。身分の差なんて、関係ないのに……)
と、考えていた……。


