「……。……お嬢様のおっしゃりたいことは、わかっておりますが、」

あからさまに不機嫌になった私の顔を窺って、リュートが口を開く。

「……だったら、」

言いかける私を、「ですが……」と遮って、

「……ですが私には、お嬢様に申し上げられるような言葉は、何もございません……」

リュートがティーカップを下げながら、苦しげにも言う。

「……どうしてよ?」

再び尋ねた私に、その美しく整った顔をそばだてて、

「……それをお答えすることなどが、私にできるとお思いですか?」

と、リュートはわずかに声を落とした。