ーー親族の元へ発つ彼を見送って、その足で生家に戻った。 「ジュリア、よく戻って来ましたね。幸せに暮らしているのですか?」 出迎えてくれた母に、 「はい、お母様」 と、笑顔で答えた。 見慣れた使用人たちの顔が並ぶ中に、懐かしいリュートの姿を探す。 けれど、彼はどこにも見当たらず、 通された広間で、紅茶を淹れてくれたのも彼ではないことを不審にも思って、 「……お母様、彼は……リュートは、どうしたの?」 尋ねた。