「今日は、海辺に出てみないか?」
「……海辺ですか?」
「ああ」と、キースが頷いて、
「たまにはランチタイムをビーチで過ごすのも、いいだろう」
私を砂浜へいざなって行く。
「ここは、私のプライベートビーチだから、誰も来ない。二人の時間には最適だろう」
「…そうですね」
キースは、初めの頃こそ冷たい人のようにも感じて、諦めのような思いで彼と暮らしていくしか道はないと考えていたけれど、
夫婦として一緒に暮らしていく内に、こんな風にも気遣いをしてくれる、温かみのある人だということも次第にわかってもきていた……。