ーー婚儀は盛大に執り行われて、多くの参列者が集まった。
「なんて綺麗なドレスかしら。裾の薔薇の花と、お城の薔薇とが相まってとても豪華だわ」
「本当にな。花嫁様もお美しくて、侯爵様が羨ましいくらいだな」
「侯爵様も、よく伯爵家に潜り込んだって感じよね?」
「ああ、あのニルヴァーナ家の次男は、かなりの策士だと聞くからな。バートリー嬢もうまくたらし込んだのだろう」
噂好きな招待客たちの軽口が、皮肉混じりな笑い声とともに耳につく。
海を望む彼の城ーーブルーカレント城で、賑やかな祝宴のさ中にいながら、
私の気持ちは深く沈んで、晴れることもなかった……。