「…そう、ありがとう……」
キースの選んだ純白のウェディングドレスは裾が長く伸びた、いかにも彼らしい美しく絢爛なシルエットだった。
「この裾に、薔薇のモチーフをあしらうのはいかがでしょう? このお城の庭園には、薔薇が綺麗に咲き誇っていて、きっとドレスともよくマッチするかと思われます」
「……そうね、おまかせするわ…」
頷いて、かつてリュートと薔薇を見ていた時間を思い出した。
(……あの時が、ずっと続いていればよかったのに……)
自分は、あの庭と同じ薔薇が飾られたドレスを纏って、どんな想いで婚姻に臨めばいいんだろうと感じていた……。


