(……だけど、私が死んだら、彼はどうなるんだろうか……)
鏡に、彼の哀しげな顔が浮かんで重なった。
今、私が命を絶てば、キースがリュートを糾弾するだろうことは明らかだった。
我の強いキースは、リュートを責めて追い込んでしまうのかもしれない……。
……リュートに、これ以上の苦しみを与えることなどはできなかった。
「……死んでしまうこともできないのね…」
鋏を置いて、顔を覆い鏡台に両肘をついた。
「……私には、もうあなたを忘れることしかできないの……?」
誰に問いかけることもできない想いが、口からこぼれた……。


