過酷な検査も終わり、あたしはベッドで暇を持て余していた。
「つまらん」
寝ようと思えば思うほど眠れん。
テレビでも見ようかと思ったけど、ほぼ自分のニュースで見ていても面白くない。
逆に罪悪感を覚えるわ。
「早く家に帰りたいよ」
滲み一つ無い白い枕を自分の顔に押し当てた。
早く家帰ってまた花屋で皆と働きたい。
すると、部屋の扉がノックされた。
「はいっ」
暇なときに訪れてくれる来客ほど嬉しい客はいない。
あたしの声は自然と明るくなっていた。
「リンちゃん、こんにちは」
と、外から入ってきたのはライムだった。
「ライム!」
「もうっ、心配したんだからっ! リンちゃんの馬鹿!」
ライムは半泣きであたしを抱きしめた。
抱きしめられるの、今日何回目だっけ。
「ごめんね、心配させちゃって。でも、もう元気だから! 明後日にでも退院できるって」
「本当!? じゃ、また皆と働けるね」
「うん。わぁ、綺麗なお花!」
ライムは花束を持ったままあたしに抱きついていた。
「これ、リンちゃんに。花屋から持ってきたんだよ。メニラン、コウチョウ、コウロウ。全部綺麗でしょ? 生けてあげるね」
「ありがとう」
あたしはコウロウの花と聞いて、思わずラウルを思い出してしまった。
初めてラウルが注文してくれた花で、あたしの誕生日にくれた花でもある。
