「……あれ?」
「どうかしました?」
「……さっきからあの車、よく見るのよね」
フィルシアは運転しながら横目でバックミラーをちらちらと見ていた。
「つけられてる……とか?」
ロアも後ろを向かずにバックミラーで確認する。
「直ぐ後ろについてる奴ですか?」
「そう……あっ……!」
車の中でカメラの用意をしている様子が見えた。
その瞬間、フィルシアは舌打ちしてUターンする。
「わっ、ちょっ!」
「あいつら、ほんっとにしつこいっ!」
フィルシアは猛スピードを出して逃げる。
が、後ろの車も負けてはいなかった。
ぴったりくっついている。
多分、週刊誌だとかの記者だろう。
フィルシアも狙われているらしい。
「高級車なめんじゃないわよっ!」
フィルシアは一般道路でアクセルをベタ踏みしていた。
男二人は背もたれに身体が引っ付いている。
「ちょっ、待て! 君、一応病人だよなぁっ!?」
「っんなの関係ないっ!」
カーブをするとき、危うく車が横転するところだった。
ガタン、ガタンと激しい音を立てて猛スピードで走る。
「死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ!」
「待って、降ろしてくれ! まだ遣り残したことが山ほどあるんだぁっ!」
男二人は口々に叫ぶ。
と、だんだんとスピードが落ちていった。
「撒いたみたい」
「あのさっ! 君、心臓悪いんだよね!?」
ロアが身を乗り出して再確認した。
「ええ」
フィルシアはにっこりと頷く。
本当に、楽しんでいるようにしか見えない。
無事にラウルの家まで辿り着けるか不安で仕方が無かった。
もしかしたら着いたときには骨だけになってるかも知れない。
レオはため息をついた。
