「そうだな、じゃ、明後日遊園地に行こう」
「やったぁ! 観覧車乗ろうね!」
「はいはい」
ラウルは苦笑気味に頷いてエビの天ぷらを一口食べる。
「お、うまい」
「あたしが作ってるんだから、当たり前」
あたしはえっへんとえばって見せた。
「お前は謙遜という言葉を知らんのか」
ラウルはぺしっと軽くあたしの頭を叩いた。
そして、何か思い出したような表情を浮かべる。
「あ、明日は帰りが遅くなるから来なくていいから」
「そうなの?」
「明日はかなりのハードスケジュールなんだ。1日で五つも番組の収録がある」
ラウルはため息をついて手のひらをあたしに見せた。
「うっわ、そんなに大変なのに次の日遊園地なんかに行けるの?」
「お前が行きたいって言うなら頑張りますよ」
あたしはにっこりと笑って「ありがと」と、ラウルに抱きついた。
そんな優しいラウルが本当に好き。
心から愛おしく思える。
「ラウル、大好き」
ラウルは照れ笑いを浮かべ、あたしの頭を撫でていた。
「明後日は、10時に迎えに行けばいいか?」
「うん、待ってる」
この時、あたしは本当に幸せで、何もかもが完璧で、心の底からラウルが愛おしかった。
あの日……明後日のあの日までは……。
