「――検査の結果、リリーン=サッチェスさんの体に異常はありませんでした――」

 機械的な口調でそう告げたロボットの医師。あたしは安堵の息をついた。

「そうですか、ありがとうございました」

 あたしは軽く一礼する。

「――お大事に――」

 ロボットの医師は、金属で出来ているであろう右腕を挙げてあたしを見送った。



□■□■□■



「ってことで、あたしはなんでもなかったみたい。心配して損しちゃった」

 あたしはそう言いながらテーブルに料理を運ぶ。

「良かったじゃねぇか。なんでもないなら」

 ラウルは本当に安心したかのような表情を浮かべた。

 あたしはハウワイ島から帰ってきてこの一週間、夜は欠かさずラウルの家に行ってご飯を作っ

ていた。勿論、誰にも言わずに。

「まぁね。でも、なんか風邪ひいてたくらいのことはあっても良いじゃない? ふらふらするし、

熱っぽくもなるし、心臓だって急激に痛くなるし」

「そのロボット壊れてたんじゃねぇの?」

「それはないと思うんだけど……よし、じゃあ食べよう」

 あたしは椅子に座った。今日は、エビと茄子とオクラとサツマイモの天ぷら。あたしの自信作。

「「いっただきまーす」」

 あたしたちは声を揃えてこう言い、食べ始めた。

「あ、そうそう。俺、珍しく明後日仕事が休みなんだ」

「え、本当っ!?」

 あたしは期待を胸に抱かせる。

「ああ、どっか行きたい所あるか?」

「わぁい、じゃあね、遊園地がいい。まだ二人で行ったことないでしょ?」

 カップルでのたまり場と言えばやっぱり遊園地でしょ。