名前も書かれていない手紙が私の元にある。 言葉も文字も私の知っている人では見たことない。 これは那月なの。誰なの。 私は名のない手紙を手に握りしめながら、眠りについた。 * 「は? 真奈帰った?」 俺は何も入っていないカバンを肩にかけて、怒った口調で言った。 「帰りましたよ」 「なんでだよ」 「…真奈、好きな人出来たかもしれませんよ」 真奈の友人杏奈は、俺になぜかいつも無表情に接してくる。