居酒屋の前に立ち、ひとつため息を吐き出してその扉をガラガラと引いてみれば、圧倒されそうなほどのうるささに、思わず耳触りだと思ってしまった。
だけども仕方なしに足を進めると、寄ってくるのは席へと案内しようとする店員で、それを無視しながらあたしは、昼間見た顔を思い出し、そしてそれを探した。
キョロキョロと周りを伺えば、視線が止まったのは窓際の奥から二番目の席で、そこで昼間の彼は、煙草の煙をくゆらせながら、外を眺めていたのだ。
その傍まで足を進めると、こちらに気付いた視線が持ち上げられ、そして口元を上げるようにしてフッと彼は、不敵な顔で小さく笑う。
「何だ、結局来たんじゃん。」
「別に。
お腹空いただけだし、食べたら帰るから。」
そう言って勝手に彼の向かいへと腰を降ろすと、それを気にも留めない様子で差し出された、メニュー表。
だけどもあたしがそれを見ることはなく、近くに居た店員に、“カシオレね”とだけ告げた。
うるさすぎる他の座席とは別の空間のように、この席の空気だけが異常なまでに悪くて、間が持たずに取り出した煙草に火をつけてみれば、“吸うんだ?”なんて聞かれる始末。
禁煙したは良いが、二日で挫折。
まぁ今回は頑張った方だとは思うが、こんなヤツが居なきゃ、もっと記録は伸びていたはずだと、本気でそう思う。
「てか、アンタよくこんなとこで独りで飲めるね。」
「あぁ、独りっつーか。
さっきまで後輩居たから。」
“それに、アンタが来る気がしたし”と、そう付け加えられ、あたしは隠すこともなく口元を引き攣らせた。
自信過剰で、おまけに自意識過剰なんじゃなかろうか。
大体、あたしが来なかったらどうしていたと言うのだろう。
何も言わずに睨めば、その間に割って入ったように店員が、“お待たせしました”と言って、あたしが先ほど頼んだカシオレを置いた。
「とりあえず、乾杯しない?」
「しない。」
そう言ってあたしは、目の前に持ち上げられたグラスを視界に入れることもなく、さっさと自分のオレンジ色に唇を濡らした。
コイツとなんて、乾杯したくないし。
だけども仕方なしに足を進めると、寄ってくるのは席へと案内しようとする店員で、それを無視しながらあたしは、昼間見た顔を思い出し、そしてそれを探した。
キョロキョロと周りを伺えば、視線が止まったのは窓際の奥から二番目の席で、そこで昼間の彼は、煙草の煙をくゆらせながら、外を眺めていたのだ。
その傍まで足を進めると、こちらに気付いた視線が持ち上げられ、そして口元を上げるようにしてフッと彼は、不敵な顔で小さく笑う。
「何だ、結局来たんじゃん。」
「別に。
お腹空いただけだし、食べたら帰るから。」
そう言って勝手に彼の向かいへと腰を降ろすと、それを気にも留めない様子で差し出された、メニュー表。
だけどもあたしがそれを見ることはなく、近くに居た店員に、“カシオレね”とだけ告げた。
うるさすぎる他の座席とは別の空間のように、この席の空気だけが異常なまでに悪くて、間が持たずに取り出した煙草に火をつけてみれば、“吸うんだ?”なんて聞かれる始末。
禁煙したは良いが、二日で挫折。
まぁ今回は頑張った方だとは思うが、こんなヤツが居なきゃ、もっと記録は伸びていたはずだと、本気でそう思う。
「てか、アンタよくこんなとこで独りで飲めるね。」
「あぁ、独りっつーか。
さっきまで後輩居たから。」
“それに、アンタが来る気がしたし”と、そう付け加えられ、あたしは隠すこともなく口元を引き攣らせた。
自信過剰で、おまけに自意識過剰なんじゃなかろうか。
大体、あたしが来なかったらどうしていたと言うのだろう。
何も言わずに睨めば、その間に割って入ったように店員が、“お待たせしました”と言って、あたしが先ほど頼んだカシオレを置いた。
「とりあえず、乾杯しない?」
「しない。」
そう言ってあたしは、目の前に持ち上げられたグラスを視界に入れることもなく、さっさと自分のオレンジ色に唇を濡らした。
コイツとなんて、乾杯したくないし。


