向日葵

要は面倒くさくなっただけで、こんな変な男とはこれ以上関わらない方が無難だと思ったし、それに番号を教えて終われるのなら、もうそれだけで良い。


まぁ、どーせこの男だって、本気であたしにお礼なんてするつもりもないだろうし。


怒りに任せて不用意にキレてしまったけど、行動と発言には細心の注意を払わなければと、今更ながらにそう思わされた。


慈善事業、慈善事業と、そう言い聞かせているうちにあたしの番号を自分の携帯に入力し終えたのか男は、先ほど渡したあたしのそれを、手の平へと戻してきて。



「じゃあね。」


そう言って、今度は本当に人の波へと消えていった。


その後姿を見つめながらあたしは、過ぎ去った嵐に軽い眩暈を覚えたのだ。


元はと言えば拾ったあたしが悪いのだし、呼び止めてしまったのもあたしだし。


アメカジ風の格好をして、一見小洒落ているようにも見えたけど、だけどもどう見てもあの男はお金なんて持ってなさそうだし、だったらあたしにとっては、用もなければ価値もない。


そんなことを考え出すと、やっぱり頭が痛くなってきて、長いため息を吐き出すことしか出来ない結果となったのだが。



「てか、そんなことより仕事しなきゃ。」


そう、あの男のことを考えている思考を無理やりに遮断しあたしは、小さく気合いを入れ直す。


ムカついてたってお金が天から降ってくるなんてことはないんだし、働かなきゃ、体を売らなきゃ生きていけないから。


ピピッと手早く携帯を操作しあたしは、適当に見繕った人物に電話を掛けた。