「お前さぁ、今まで何やってたの?」
車は街を抜けるようにして走り出し、クロは窓の外を眺め続けるあたしにそう問い掛けてきた。
オーディオからは心地の良い洋楽が流れ、横からは煙草の煙をくゆらす息遣いが聞こえてくる。
「つか、何か言えよ。」
「降ろして。」
「はい、却下。」
多分そう言われるだろうとは思っていたのだが、本当に言われてしまえば長いため息を吐き出すことしか出来なくて。
思えば二人っきりで、こうして静かに話すことなんて初めてだったなと、不意にそんなことを思ってしまったのだが、馬鹿馬鹿しくてその思考を振り払った。
「アンタさぁ。
あたしに避けられてるとか思わなかったわけ?」
「思ったね。」
「なら、何で諦めようとか思わないわけ?」
「何でかな。」
フッと笑った言葉はやっぱり遊んでいるようで、これじゃどんなに話しても平行線だなと、そんな風に思わされる。
国道はただ真っ直ぐに伸び、次第に景色を占めるビルの群れの数が減っていくように感じた。
「つーかさぁ。
そんな警戒しなくても良いんじゃない?」
「あたし、男なんて信用しないから。」
「男で金稼いでるのに?」
「―――ッ!」
視線は横目でこちらを捕え、あたしは逃げるように唇を噛み締めた。
二人っきりの車内はひどく居心地が悪く感じ、沸々と蘇ってくる記憶の片鱗の所為で早くなっていく心臓の音に、背筋に汗が伝うのを感じてしまう。
車は街を抜けるようにして走り出し、クロは窓の外を眺め続けるあたしにそう問い掛けてきた。
オーディオからは心地の良い洋楽が流れ、横からは煙草の煙をくゆらす息遣いが聞こえてくる。
「つか、何か言えよ。」
「降ろして。」
「はい、却下。」
多分そう言われるだろうとは思っていたのだが、本当に言われてしまえば長いため息を吐き出すことしか出来なくて。
思えば二人っきりで、こうして静かに話すことなんて初めてだったなと、不意にそんなことを思ってしまったのだが、馬鹿馬鹿しくてその思考を振り払った。
「アンタさぁ。
あたしに避けられてるとか思わなかったわけ?」
「思ったね。」
「なら、何で諦めようとか思わないわけ?」
「何でかな。」
フッと笑った言葉はやっぱり遊んでいるようで、これじゃどんなに話しても平行線だなと、そんな風に思わされる。
国道はただ真っ直ぐに伸び、次第に景色を占めるビルの群れの数が減っていくように感じた。
「つーかさぁ。
そんな警戒しなくても良いんじゃない?」
「あたし、男なんて信用しないから。」
「男で金稼いでるのに?」
「―――ッ!」
視線は横目でこちらを捕え、あたしは逃げるように唇を噛み締めた。
二人っきりの車内はひどく居心地が悪く感じ、沸々と蘇ってくる記憶の片鱗の所為で早くなっていく心臓の音に、背筋に汗が伝うのを感じてしまう。


