向日葵

「じゃあ改めて、俺らの再会を祝して!」


“乾杯!”とグラスを持ち上げてみれば、空中でぶつかったそれは、カツンと綺麗な音を響かせ、中の液体を小さく揺らした。


同窓会での再会から二日、智也に呼び出されてあたしは、居酒屋でアルコールを流し込んでみれば、実に気分が良いなと、そんなことを思ってしまう。



「つか、夏希も巡回通りに居るとか、何で今まで会わなかったのか不思議だよな!」


どうやら智也の会社も巡回通りの近くだったらしく、先ほどそのことを聞いて驚いたばかりだ。


世の中は広いのか狭いのか、わかんなくなってしまう程。



「智也、彼女居ないの?」


「残念ながらね。
何か、仕事と家の往復って感じ。」


「何それ。
老けたね、智也も。」


「うわっ、それキツい!」


ケラケラと笑えば、まるで昔に戻ったかのように楽しくて仕方がない。


ついでにお酒が入ったことにより、会わなかったこの一年半なんて、簡単に埋まってしまったように感じてしまう。



♪~♪~♪

そんなあたし達の空気をつんざいたのは智也の携帯の着信音で、“ちょっとごめん”とディスプレイを見た彼はそう言い、そして通話ボタンを押した。



―ピッ

「はい、え?
それなら俺が持ってますよ。
良いんすか?
はい、いつもの居酒屋っす。」


仕事の話だろうか智也は、短めに相槌を打ち、そして電話を切った。


携帯を置いた彼は、“悪ぃな”とだけあたしに告げて。