プロポーズらしきものにわざわざ海に来たり、花言葉なんか知ってて実は可愛いところもあったりで、クロはやっぱり変だと思う。


毎日牛乳飲んでる理由は心が広い人間になれそうだからで、夏も終わりだって言うのにサーフィンがしたいと嘆いたりもする。


何よりこんなひねくれたあたしのことが好きなんだと言って、たまに聞いてるこっちが恥ずかしくなるような台詞を言うのだから、嫌になる。


それでも、同じ誕生日で、同じ過去を背負って、色々あったけど、きっとこれからは二人でなら大丈夫だと、漠然と思った。


そう思わせるクロはやっぱり不思議で、それでも毎日は楽しいばかり。


明日お店がオープンしたら、もっと楽しくなるんだと、彼は言う。



「それよりさ、花火しようぜ。」


「…持って来てたの?」


「トランクん中に投げてる。」


「クロってさ、何でもトランクに隠しちゃうよね。」


「ごめんね、まだ指輪は隠してないけど。」


「じゃあ、隠したら教えてよ。」


「教えたら意味なくね?」


「そだね。」


強くなれたのかは、あたし達自身にはわからなかった。


それでも前だけを向いて向日葵のように顔を上げて生きようねと、そんな約束で強くなれるような気がしたんだ。


夏はもう終わってしまうけど、クロが居て、あたしが居ればそれだけで良い。









END


(クロサイドも公開予定です。)