私は長い時間、昔を懐かしみ、たっぷりと思い出に浸っていた。
でも、ふと現実にもどったとき、もう、あの最高に幸せだった高校生の頃から、10年という月日が経っていることに愕然とした。
そして、いつまでもその思い出を引きずっている、自分が惨めに思えてきた。
今回、瀬野尾くんの彼女を見てしまったことで、自分の瀬野尾くんへの気持ちがよく分かった……
結局、私は、瀬野尾くんを、ひとりじめしたかったんだ……
最低の女だ
瀬野尾くんが女の子に人気があっても
瀬野尾くんが女の子と遊んでいても
瀬野尾くんに彼女がいても
平気な振りをしてきた。嫉妬深い女と思われたくなかった。
でも、もうきっと限界なんだな。
知らないうちに私の気持ちの箱は満タンになっていて、私はそこに無理矢理に蓋をしていた。
けれど、今回のことでその蓋はものの見事に壊れ、溜まりに溜まった気持ちが底をつきることなく溢れでてしまった。
………………
………………
卒業しよう……
瀬野尾くんから卒業しよう
すっかり遅くなっちゃったけど、きっとこれがそのタイミングなんだ。