そんな中、ひときわたくさんの人だかりが出来ている場所があった。


私は何となく、その人だかりに目を向けた。



男子も女子も団子になって写真をとったり、何やらキャーキャー楽しげに騒いでいる。








あ…………








その団子の中心には瀬野尾くんがいた。




瀬野尾くんが楽しそうに笑っている。
瀬野尾くんが嬉しそうに話している。




もう瀬野尾くんとも会えなくなるのかな………




そう思ったら急に、私はこの高校を卒業することが寂しいと初めて思った。






足が止まった。






この門を出たら、瀬野尾くんに会えなくなる。



この門を出たら、瀬野尾くんの声が聞けなくなる。



瀬野尾くんとの楽しい思い出が頭をよぎり、急に胸が苦しくなってきた。