なぜか鼓動が早くなるのが分かった。 気が付くと気持ちとは反対に、私の体は瀬野尾くんがいる方とは反対の方を向き、瀬野尾くんから隠れるようにして走り出していた。 なぜ逃げるの なぜ隠れるの 頭が混乱している なぜだろう 涙が止まらない なぜだろう 胸が苦しい なぜだろう なぜだろう 大丈夫だと思っていた瀬野尾くんへの思いが、せきを切ったように次から次へと溢れだし、もう止められなくなっていた。 苦しい 苦しい ………………。