私と君とでまわる世界

ガチャッ

玄関の開く音がした。

急いで玄関へと走って行くと、

「奏歌、ただいま。
誕生日なのに遅くなってごめんね。」

仕事を終えた父親が居た。

「おかえり、お父さん。」

そして、幼子は口にする。

「あのね、お父さん。
かな誕生日だから欲しいものがあるの。」

「奏歌から欲しいものなんて珍しいね。」

大好きな父親の顔が、
悲しそうに笑うことを覚悟して。

「お父さんのはつこいの人ってどんな人?
どうしてお母さんは、いつもかなの誕生日にしか手紙をくれないの?」

やっぱり…。

あの日と同じように悲しそうに笑った父親は、
あの日とは違う言葉を口にした。

「そっか、奏歌も来年から小学生だもんな。」

そう言ってリビングのソファーに向かう。

「おいで、奏歌。」

そして、私は真実を知る。

「今から話すのは、お父さんの昔話。
そして、奏歌とお父さんとの秘密だよ。」

そう言って笑った父親の顔は、
やっぱり何処か悲しそうに見えた。