その瞳は、嘘をつけない。

キッチンはすっきりとしていて、というかほとんど物がなくて。
カップはかろうじて2つある。
1つしかないと、いちいち洗うのが面倒、だそう。
女の人が来て、ここで料理をしたってことも無いような雰囲気に、ちょっと嬉しくなる。
電気ケトルでお湯を沸かし、コーヒーを淹れテーブルへ。
丁度よいお皿がないから、と言って、ケーキにつけられたプラスチックのフォークで、箱から直接食べることにした。
この豪快さは新鮮。
「お。このコーヒー、いつもと味が違う気がする。」
「インスタントコーヒーでも、ちょっと工夫すれば美味しく淹れられるんですよ!」
「さすがカフェ店員だな。」
「なんて、お湯を入れる前にコーヒーの粉を水で溶くってだけなんです。テレビでやってたんです。」
「へぇ。」
「一之瀬さんもやってみるといいですよ。」
「またお前が淹れてくれれば良いだろう?」

またこういう意味深な言葉。
2人でシェアして食べたケーキは、殊更美味しく感じる。