その瞳は、嘘をつけない。

「や・・・・いち・・のっせ、さん、もうムリっ・・・」

静かな寝室に、私の声が響く。

「久しぶりと言っていたが、もうギブなのか?」
「だって・・もう・・・。」

私は仰向けになり、膝を立てている。
その足を一之瀬さんが抑え、私をあおる。

「仕方ないな。ほら、あと20回。それが終わったらケーキだ。」
「うぅうーーー」

お腹にぐっと力を込め、上半身を起こす。
俗に言う、腹筋というやつだ。

一之瀬さん曰く、くよくよしているくらいなら身体を動かせー!とのことで、
さっきまでは腕立て伏せをさせられていた。

ジョギングやジムへ行くことも考えたらしいけど、着替えやシューズの用意の手間を考えると、自宅トレーニングの方が手っ取り早いということで、一之瀬さんの家に移動することにしたらしい。
一之瀬さんの寝室のクローゼットには、ダンベルや名前もわからない筋トレ用品がたくさん入っていて、私が今寝そべっているマットもその一つ。ヨガマットってやつかな。実物は見たことなかったけど。
あの一之瀬さんの引き締まった体だって、自然にできているわけじゃなくて、鍛えた賜物なんだなぁ。

「ほら、あと10回。」
「は、ぁ、い・・・」

腕立て伏せや腹筋なんて、高校時代の体育の授業以来じゃないかな。
あれ、意外といけるじゃーん、なんて思えたのは最初の数回だけ。

あとはとにかく、ツライ。キツイ。