その瞳は、嘘をつけない。

しばらく猫を眺めたのち、犬やうさぎも見てからお店を後にする。
その先にあるのは、大きな本屋さん。
「ここ寄っても良いですか?」
「ああ、好きなだけ。」

店内にに足を進めると、入口近くにはベストセラー、新刊、そして雑誌コーナーがある。
本屋さんの構造はどこも似たような感じなので、自分が目指すコーナーは奥の方だと検討がつく。
「私、あっちの方見てきたいんですけど、一之瀬さんはどうします?別行動してから待ち合わせでも良いんですけど。」
「じゃあ雑誌でも見てるよ。10分くらい?」
「はい、ありがとうございます。」

服や本を見る時に、誰かと一緒に行動するのは好きではない。
優柔不断な質なので、散々見ておきながら何も買わない、ということがしょっちゅうあるからだ。
一之瀬さんはしっかり察してくれたようで、大人の余裕のようなものを感じられて嬉しい。

店内奥へ足を進め、向かった先は資格・検定コーナー。
司法試験や公務員試験の参考書の棚を通り過ぎ、英語関連の棚の前で立ち止まる。
探しているのは、英検やTOEIC対策でもなく英会話。
そして目当ての本は
「あった。」
新刊だからか、棚ではなく、平積みさてれいたそれを手に取る。
私が働いているカフェはオフィス街。
最近、外資系企業の大きなビルができたせいか、外国人のお客さんがすごく増えた。
最低限、お金と商品のやり取りに支障がないような英会話はなんとかできるものの、今一つスムーズにできない。
英文学科卒業の身としてはもどかしくて、なんとかしたいなぁと思っていた時に、ネット広告でこの本を見つけた。
インターネットで注文しても良かったんだけど、その前に実物を見てみたかったのだ。