その瞳は、嘘をつけない。

しばし沈黙が続いたあと、一之瀬さんが口を開いた。

「怒ってるのか、お前。」
「いいえ、そういう訳ではなくて・・・・。
ていうか、どうしていつもお前って呼ぶんですか?」

会話を再開する糸口を見つけたので、すかさず聞いてみる。
初めて会った時、合コンのときから「お前」と呼ばれていた気がする。

「あぁすまない。妹を呼ぶ時もお前と言っているから、つい癖で。」
「妹さんっておいくつなんですか?」
「俺の2歳下。」
「ていうか、一之瀬さんはおいくつなんですか?」
「29・・・ってこれも前に・・・。」
あ、居酒屋で聞いていたんだ、きっと。

「ごめんなさい、本当に覚えてなくて。
きっとまた同じことをたくさん聞いちゃうと思います・・・。」
「そう何度も謝るな、別に構わないから。」

鋭い目つきとは裏腹に、すごく優しい、というか面倒見がよいなと思う。

「俺の妹が地元で看護師やってるって言ったら、急に酒のペースが上がったんだよ、お前」