その瞳は、嘘をつけない。

「たまにな。お前はよく行くんだろう?」
「立ち読みとか、眺めるのがメインですけどね。本は大好きだけど、私のお給料じゃそんなにたくさん買えないので、図書館に行くことの方が多いです。」
「あぁ、それであの家に住んでるのか。」
「そうなんです!図書館の近くに住むのが、小さい頃からの憧れだったんです!」

そう、私の住むアパートから歩いて5分かからないところに、この近辺では一番大きな図書館がある。
蔵書の多さもさることながら、勉強スペースやカフェもあり、私のお気に入りの場所。
耕平と別れて、家を探さなければならなかった時真っ先にこのエリアに足を運び不動産屋に向かったくらいだ。

「本もいいけど、現実にも目を向けてみたらどうだ?」
「現実って・・・私そんなに現実逃避してるように見えますか!?」
「そういう意味じゃない。」

じゃあどういう意味?
もしかして、一之瀬さんは私に好意を抱いてくれてるのかな、と期待する半面、
思わせぶりな言葉で、からかわれてるような気もしてしまう。

いつからこんなに、人の言葉に常に疑いを抱いてしまうようになったんだろう。