その瞳は、嘘をつけない。

「考えてることが分かりやすいと言われることはないか?」
「あんまりないと思います。クール、とか、冷静、とか言われることはありますけど。」
「まぁ、確かにそう見えるな。」
「一之瀬さんにはわかるんですか?私が考えてること?」

ちらっと一之瀬さんの方を横目で伺うと、
一之瀬さんも一瞬だけ視線をこちらに向けた。

「相手に喋らせたり、考えを見抜くのも仕事のうちだからな。」

それってもしかして
「・・・取り調べ?」

今度は、声を出さずに笑いだす一之瀬さん。

「刑事さんって、人の気持ちが見抜けちゃったりするんですか?心理学とか勉強してたり?」
「たまにそういう本を読むこともあるが、経験則も多いな。
こいつ、なにか隠してるな、くらいならわかる。」
「へぇぇ・・・。」

もともと落ち着いてなんていなかったけど、さらに緊張してくる。
私が考えていることは一之瀬さんにはすべてお見通しなのだろうか。

「本と言えば、四省堂にはよく行かれるんですか?」
虚を突かれたように、ハンドルを握る一之瀬さんの指がぴくっと動いたのを、私は見逃さなかった。