「朝ごはん用意するね!」
踵を返してキッチンに向かう。
ずっとあのままでいたかったけど、駄目。
このまま時間が止まってしまえば良いのに、なんていう馬鹿げた考えに思考が支配されてしまうから。

ラジオでニュースを聴きながら朝食を済ませ、二人でソファーで寛ぐ。
私はソファーよりも床に転がる方が好きだったんだけど、秀くんはソファーが良いみたいだったから、自分で買いに行った。
次に部屋に来てくれるのはいつなんだろうという不安と、
たまにしか来ない彼のためにそこまでする私って馬鹿じゃないのという憤りを抱えて。
幸運にも、ソファーは何度も活躍してくれている。

横に並んで互いにもたれ掛かって、他愛ない話をぽつりぽつり。
どちらかというと聞き役タイプの私と、寡黙な秀くん。
会話が弾むことは滅多にないけど、不思議と彼とは沈黙が苦にならない。
きっと秀くんもそう思っていてくれると思う。
なんて、自惚れてるかな。