その瞳は、嘘をつけない。

「お疲れ様でしたー。」

閉店後の事務処理を終えて、学生バイトさんの男の子と店を出てロッカーに向かう。

「そういえば小山内さん、この間、お客さんをナンパしたって聞きましたよー!」
馬場くんがにやにやとしながら聞いてくる。

学生バイトの中ではベテランの馬場くん。
夜や土日のシフトに積極的に入ってくれるので自然と親しくなり、話しやすくはあるんだけど。
妙に子供っぽいところがあり、人をからかったり下ネタが好きだったりで、
話をしているとたまに疲れてしまうこともある。
黙っていればイケメン、って言葉がぴったり。

「そうやって話を広めてるのは映見ちゃんよね。
ていうかナンパって言っても、あの手紙を用意したのは映見ちゃんなの!
警察官と合コンしたさに私をダシにしただけよ。」

これくらい強く言っておかないと、話は尾ひれを付けて広まってしまう。

「へぇ・・・また合コンねぇ。」
「あ、ほら、映見ちゃんて友達多いからさ!
友達に頼まれたりもしてるみたいだよ!!」

なんて無理やりフォローしてみるけど、ほとんど効果なし。
馬場は映見ちゃんに気があるみたいで、映見ちゃんも薄々気づいてるみたいだけど、
どうやら学生は恋愛対象にないらしく、いつもかわしている。
そんな馬場くんを見ていると、こちらまで切なくなってきてしまう。

「前の彼氏と別れてからしばらく経ちますもんねー。
うまくいくといいっすね~そのナンパ相手と。」
「だからナンパじゃない。」

気を使ったつもりが、憎たらしい言葉が飛んできた。