その瞳は、嘘をつけない。

耕平との関係が終わってしまったことは、私一人の問題ではないので、今になって悔やんでも仕方がないのだけど。
自分の見込みが甘かったな、と唯一後悔していることは、しっかりと就職活動をしなかったこと。
翻訳家に憧れがあって英文学科を卒業したものの、それを生かして地元で就職しようにも求人すらほとんどないような状態。
就職のために耕平と離れるなんて考えることも出来なかったし。
耕平か就職したら結婚するだろうから、それまでの2年間の収入が確保出来れば良いや、と
今になって考えてみると信じれないくらい浅はかだけど。
あの時は、それで良いと思っていた。

その時に働き始めたのが、今働いているカフェ。
オフィス街にあるのに土日も営業、夜も8時半までの営業というこの地域では珍しいお店だけど、
スタッフも店長もみんな良い人だちばかりで、職場環境は抜群で居心地が良い。
それもあって、耕平と別れてからも続けている。
正社員になれる可能性は皆無だけど。

後ろ盾がなくなってしまった今となっては、何かもっと、ちゃんとした定職というような、
しっかりとした仕事に就かなきゃな、と思いながら資格を調べてみたり参考書を見てみたりするものの、続かない。
将来に対して漠然とした不安が無いわけじゃないけど、
現状に、不満があるほどの強い焦りもなくて。
本を読むことは好きだけど、それ以外に興味を持てることも無くて。

薄っぺらい人間なんだなぁ私、とつくづく思う。

ずっと成績は良い方で、穏やかで優しい彼氏もいて、
安定した日々を過ごしていたはずが。

壊れるのは一瞬だった。