緊張状態で到着した秀くんのご実家。

「突然すみません。小山内実加と申します。」
玄関先で秀くんのお母さんにご挨拶。
お父さんはお仕事へ行っているとのこと。
平日だしね。
「あらあらまぁまぁ。こんにちは。秀が女の子連れてくるなんて！」
「突然すみません。そして手ぶらで、私…。」
「いいのよーそんなこと気にしないで。
秀のことだから急に決めたんでしょう。」
まさに、そうです。
とは言えず苦笑い。

「いつもそうなのよ。
急に来て、すぐ帰っちゃうの。」
「おいおい、いつまでここにいるつもりだ？」

秀くんの一言で、居間へ通される。

「ミカー元気だったかー？」
「みゃおん〜」

秀くんの脚の周りをすりすりする、ミカちゃん。
秀くんが抱き上げると、ゴロゴロと喉をならして秀の胸に頭をすり寄せてる。
秀くんに懐いてるんだなぁ。

「初めまして！私も実加です。」
なーんて笑顔で挨拶してみたら

「シャーァーー」

さっきまでの愛らしい顔はどこへやら。
一瞬で獣の顔になり、はっきりと威嚇されてしまった。

「あらまあミカってば。実加ちゃんに秀を取られるってわかってるみたいねー。」