「悠菜の気持ちは理解した。」

「…………。」

「望みはある?悠菜の気持ちは俺に向けられてる?」

「はい。」

「憧れじゃなく、一人の男として見てくれる?」

「はい。」

「だったら諦める必要ないよね?」


それには頷けない。

仁を待たせる事になるから。


「悠菜、一つ提案がある。」

「提案ですか?」

「そう。」


何だろう?

仁が話し始めるのを待つ。


「悠菜、内緒なら大丈夫?」

「内緒?」

「会社では秘書と上司。絶対に知られないようにする。」


内緒?


「2人だけの秘密。」

「秘密?」

「そう、2人だけの秘密。」


秘密。

じっと見つめる。

お互いが目を逸らさない。

真剣な眼差しが私を食い入る様に見ている。


「悠菜、絶対に守る。だから俺にしろ。」


これは仁の戦略。

私を逃がさない為の戦略。

この戦略に乗るべき?

同じ様に食い入る様に仁を見つめる。


「悠菜、絶対に後悔なんてさせない。」


力強い口調が私を支配しようとしている。