目が逸らせない。

あまりに真剣な眼差しを向ける仁から視線が外せない。


「俺が守る。」

「…………。」

「俺の女は悠菜しか考えられない。」

「…………。」

「こんなに恋焦がれた相手は過去にいない。きっとこの先も。」

「…………。」

「悠菜、俺にしろ。」


真剣な眼差しを見つめて逸らさない。

痛い程、仁の想いは伝わってくる。


「俺にしろ。」


揺るぎない強い口調。

堕ちそうになる。

そっと目を閉じて、大きく深呼吸を吐き出す。

冷静に考える。


「悠菜。」


名前を呼ばれて、閉じていた目を開いて仁を見つめる。


「気持ちは凄く嬉しいです。だけど勇気が足りなくてスミマセン。」


深く頭を下げた。

ここまで言ってくれてるのに勇気がない。

会社で知られたらと思うと怖い気がする。

現実は甘くない気がする。


「仁さんに憧れてるし、付き合えたら絶対に幸せだと分かってます。けど…………。」


一呼吸入れる。


「けど私の踏み出す勇気が足りません。」


もう一度深く頭を下げた。