いつものように仕事をしていると受付から内線が掛かってきた。

珍しい事ではない。

来客時には内線で確認されるし、突然の来訪も稀にあるからだ。


「はい、秘書課です。」

「秘書課の斉藤さんに来客です。高井戸ロジスティクスの高井戸専務がお見えです。」

「私にですか?榛名取締役にではなく?」

「はい、如何致しましょうか?」

「すぐにロビーに降りて行きますので。」

「はい。」


高井戸専務?

何で?

もしかして社交辞令の食事の件なのかな?

ああー、高井戸専務に迷惑かけちゃってる?


金曜の会食での会話がグルグルと頭の中を回り続ける。


「少し席を外します。ロビーにいますので。」


秘書課の人達に一声かけてロビーに降りていった。

ロビーには何度か拝見した事のある高井戸専務が腰掛けて待っていた。

急ぎ足で近づいていけば、専務も気付き、立ち上がってお辞儀をした。

専務の前に立った私もお辞儀を返した。