「お袋からか?」


背後からの声にハッと我に返った。

バッと振り返れば、やっぱりイジワルな笑みを浮かべて私を見ている。


「何で剛が?」

「はあ?ここは俺の部屋だ。」


そう言われてみれば…………私の部屋じゃない!

嘘?

あれ?

昨日は…………?


「何度も起こしたけど、まったく起きなかったのはお前だ。」

「…………もっと起こしてよ。」

「飲み過ぎなんだよ。」

「…………ごめん。」


そういえば一緒に寝てたのか?

ベッドの上の剛をじっと見つめる。


「一緒に寝たの?」

「俺の部屋にベッドは一つしかないからな。」

「いやいやいや、本当起こしてよ。」

「はあ?飲み過ぎて起きなかったのは悠菜、お前だからな。」


そう言われたら反論できない。

服はちゃんと着てるが、皺だらけになってしまっている。


「服を貸そうか?」

「あるの?あー、やっぱりいい。彼女のモノとか悪いし。」

「俺の服。」


自分の姿を見つめて考える。


「上だけ貸してくれる?」

「待ってろ。」


クローゼットに向かう後ろ姿を見つめる。