取締役と違って、遊んでそうなイメージだ。

取締役は紳士?なイメージかな?

剛は…………女に本気になるのか怪しい。

頭の中で2人の分析をしていれば、取締役の声が聞こえてきた。


「高井戸社長、そろそろお時間ですが。」

「あー、もう時間かね?」

「楽しい時間はあっという間に過ぎると言いますし。」

「そうだね。では斉藤さん、息子から連絡を入れさせますから。」

「はい。」


社交辞令だったのに!

本当に取引先の息子と食事に行くの?

疲れそう…………

顔には絶対に出さず、笑顔で対応する。


「それではお先に失礼するよ。榛名社長にも宜しくお伝えして下さい。」

「もちろんです。今日は社長が来れず申し訳ございませんでした。」

「いや、若い君達との時間も貴重だからね。それでは失礼するよ。」


席を立ち、深く頭を下げて見送る。

高井戸社長は気さくな方だが、世話好きな雰囲気がプンプンだ。

個室の扉の閉まる音に頭を上げる。