「それって、まさか林さんのプライベートが今回の早希の行動に何か影響を与えたってことですか?」

「ええ、まだ確証はないのですが、もしかしたらということも」

コイツ、今何を言った。
「・・・その辺、詳しく聞かせてもらってもイイですか?」

低くうなるように声を出すと、ぐいっと林さんの上腕をつかむ。
早希を泣かせたかもと聞いて私が我慢できるわけがない。

副社長だけでなく、コイツも敵だったとは。

ぎりぎりと奥歯を噛みしめ林さんをぐいと押してやると突然の私の行動に林さんは驚いた様子でよろけた。
そのまますぐそこの壁際に追い詰める。

人目がなければこのまま壁ドンしたいくらいだ。モチロン、色っぽい方じゃなくてバイオレンス的な方で。

「さあっ、吐いてもらいましょうか」

逃げられないように林さんの上腕に自分の腕をからませ顔を寄せると他人に聞こえないように囁く。

周りから見たらちょっとしたラブシーンに見えるかもしれないが全然違う。
ここは柱の陰になっていて回り込んで見ない限りそれが私と林さんだと気づく人などいないだろう。

ただ、林さんと私ではかなりの身長差がある。私が顔を寄せても林さんの耳元に囁くことはできない。
抱き付くようにして林さんの胸元に囁いていたのだ。

「さ、佐本さん」
サイボーグも強引な私の行動に驚いたようだ。