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・・・これは両手に花??いや、私の腕は2本。私の周りには見目麗しい男性が4人。
私の腕の数より男性の数が多いんだからこういう時はなんて言うんだろう。
逆ハー?
逆ハーレムってことでいい?
いえいえ、望んでませんけど?


「エディー、だからエスコートはいらないって何度も何度も・・・念を押したわよね」とエディーを睨んだ。
エディーは軽く右肩を持ち上げたけれど、何も言わずニヤリと笑った。

「マイコ、申し訳ありません。私がエディーを抑えきれなくて」
エディーの後ろからニコラスが頭を下げる。

「やだ、ニコラスのせいじゃないのはわかってるから。お願いだからこんなところで頭なんか下げないでちょうだい」
周囲の視線が気になって慌ててニコラスの腕にすがるようにして頭を上げさせた。
キラキラしてる男性たちのせいで周囲から浮いていて私たちはかなり目立っている。

「こら、ユイコ。僕以外のオトコに気軽に触れるんじゃない」
後ろからエディーが私の腕を軽くつかんでくる。

「あなたもでしょっ」今度はもっと冷たい視線をエディーに向けた。

背後では小林主任がくすくす笑っている。
主任はベネチアでの仕事を無事に終わらせ昨夜遅くにホテルに戻って来ていた。
その主任の隣には私たちのやり取りを呆然と言った顔で見ている・・・社長秘書の林さん。

そう、神田部長が言っていたスタッフとは林さんのことだった。
林さんは昨夜主任と共に私の泊まるホテルに到着したのだ。

今日の私の役目はとにかく手あたり次第ここで私の知り合いに彼に紹介すればいいらしい。

噂通り彼はいずれ会社を背負って立つ重要な位置に立つ人なんだろう。
ーーイタリア支社に異動するのは林さんだ。ポストはおそらく支社長。
その下に就くことになるのが小林主任か私。もしくは二人とも。