「立花先輩!この前はありがとうございました!」


1番初めに話を始めたのは光。


「ああ…あの時の?全然。君は確か…」


「光です!」


立花先輩が名前を思い出す前に、光は大きな声でそう言った。


「…光ちゃんか。」


先輩は笑いながら言った。


先輩が、光ちゃんというだけでズキっとする私。


心の狭さを実感して恥ずかしくなった。


「そういえば、この前って?」


洸先輩がさりげなく言った。


「ああ、入学式の帰り、光ちゃんと会って…荷物が重そうだったから手を貸しただけ」


なんでもないという風に話している先輩を見て、慣れていることが伝わって来た。


「そういうこと。」


洸先輩は納得した様子でお弁当の中身を口に入れた。


その後も、光と峻輝先輩の会話は続く。


「美琴?静かだけどどうした?」


光に心配されたけど、私は何にもと言って、食べ続けた。


そうしないと、涙が出て来そうだから。


「あ、もうすぐ予鈴だ。また食べようね、天宮さん、光ちゃん。」


昨日だったら、また食べようと言われたら飛び上がってたかもしれない。


遠ざかる峻輝先輩を見て、また、胸が苦しくなった。