「社長が言うには、三橋さんがご自分から作ると言ってくれたんだとか。それは本当なんですか?」


パワハラの存在でも探るように訊き返され、目をパチパチと瞬きさせる。


「……ええ、本当ですよ」


紫苑のスケジュールを組んでる最中、殺人的に忙しい人だと知った。
このまま不摂生な生活をしていたら、いつか倒れてしまうんじゃないかと心配した。


「社長が体調を崩して倒れると困るから。このオフィスは社長が元気で居てこそ皆が働ける訳ですし」


自分としては正論を言ったつもりだ。
それに対しては、首藤さんも異論を唱えたりはしなかったんだけど。


「それなら別に三橋さんが弁当を作ってやらなくてもよかったんじゃないですか?コンビニでも売ってるんだし、それこそ移動販売の弁当でも良かった訳だし」


どうも私がお弁当を作ったのが気に入らないみたい。
唇を下げてムッとしてる顔を見ると、下手に逆らわない方がいいな…とは思ったんだが。


「どうせ自分の分も作るつもりでいたし、一人分よりも二人分の方が作り易いから」