幼馴染みと、恋とか愛とか

だから、あの歓迎会でも紫苑がカウンターに来たら余計な文句も言わずに逃げた。

私ともっと飲んで語らい、親睦を深めるつもりがあったと思われるのに………。




「行ってくる」


今日も紫苑は首藤さんと二人で取り引き先のオフィスに出向いて行く。
首藤さんは私を視界に入れると微笑み、私はそれに対して強張りながらも笑みを作って見送った。


紫苑と同じオフィスで働き出しても、私は一つだけ彼に内緒にしてることがあった。

それは誰にも言いたくない事実で、それがあったが為に銀行も急に辞めたんだが__。


きゅっと両脇に汗を感じて閉める。震えそうになる体を抱く様に腕を交差させて堪えた。

銀行を辞めて以来、正社員になるのを諦め、契約社員として働いてきたのにもちゃんと訳があるんだが。


(そんなの紫苑には話せない……)


子供の頃からいつも「紫苑君はお兄ちゃんだよ」と言われてきた。

紫苑の両親からも「何かあったら頼ってね」と言われて、事ある毎に、皆は紫苑を「救世主だと思え」と言ってきたけど__