家族同様に育ってきた紫苑からお小言か何かを頂きそうな雰囲気で、言われたら何て言い返そうかと頭の中で対策を練ろうとした。


「…だったらいいじゃねえか。歓迎して貰えるなら喜んでおけば」


沢山食べて飲めばいい…と呟き、ふい…と視線がデイスプレーへと戻っていく。

私は意外にもアッサリと済ませる紫苑の対応が信じられず、キョトンとしたまま「うん…」と拍子抜けしたような声を漏らした。


てっきりのらりくらりと働いてきたことを責められるのかな…と覚悟していた。

銀行に入社した時は両親も喜んで、紫苑の親にも嬉々としながら自慢をしてたくらいだから。


(辞めた理由も聞かれなかったし、思ってたよりも寛大……?)


助かった…と肩の力を抜きそうになる。
銀行を急に辞めた理由を話すのは、何よりも嫌だったから。