「それとなく聞いてみて下さいよ。彼がいるかどうか」


「そりゃ構わないが」


聞くくらいはな…と思い、請け負ったのはいいんだが。



(どうも納得できん…)


胸の中がモヤッとして、喜ぶ首藤の顔が直視出来ない。

彼が萌音の人柄や性格を理解して彼氏に立候補しようとしているとは思えず、何となく体だけが目的ではないのか…と疑った。


(いいのか、こんなこと請け負って)


自分に問いかけながら(よくねえだろ)と頭の中で答える。

妹のように見ろと言われ続けてきた萌音を、首藤初め変な男に紹介するのは嫌だな…と妙に気を揉む自分があった。


(しかし、どんな男を選ぶかは萌音の勝手だしな)


恋愛は自由にしてもいいと社員達には言っている。
それで仕事にやり甲斐が出て、能率アップが図れるなら言うことはないからだ。


(でも、何となく詰まらねえ……)


頬杖を付いて思いを巡らす。
ひょっとしたらいるかもしれない萌音の彼氏がどんな奴なのかを、生まれて初めて想像した__。