幼馴染みと、恋とか愛とか

萌音が?と言いたくなって、急いで唇を閉ざした。


「人事担当の柴原さんがそう言ってましたよ。『年の割には幼く見えて可愛らしい感じの美人だ』って。それで『社長はああいう人が好みなのかな』と話してましたが……」


喋る首藤の声を聞き流しながら、(あれも美人のうちに入るのか…)と考えていた。

幼い頃から萌音を知ってるもんだから、敢えて美人だとも考えたことがなかった。



「ふぅん」


納得したように声を漏らすと、ちらっと首藤が目線を向ける。
俺としてはさして意味のある声ではなかったんだが、彼にとっては更なる好奇心を生んだらしく。


「オフィスに戻ったら、私にも紹介して下さい」


はっきり願う声を聞き、ああ…と返事をしたものの、何だか面白くないと感じてしまい、改めて紹介とか別に要らないんじゃないのか?と思ってしまう。


首藤に紹介するのがどうこうじゃなく、生まれた頃から見ている萌音を第三者に紹介するのに慣れてないだけなんだが。


(妹みたいに思って面倒を見ろと言われて育ってきたが、実際はそれほど意識してやってこなかったしな)