「社長か……」


アルバムを眺めながら、「まだ信じられないわ」と呟く。

狐か狸に騙されてるような気分で、明日目覚めたら全て夢で終わってるんじゃないだろうか…と本気で心配してしまうくらい。

だけどもう就職させられてしまったし、今更辞めるのも勿体無い。


「……仕様がないから働いてやるか」


派遣の時よりも三割増し高い給与をくれると言ってた。
ボーナスも期待していいんだよね!?と後日紫苑には確認しておこう。



「ボーナスなんて久し振りだな」


派遣で働いてると縁のないものだったから楽しみ!


「それに今日からは契約を切られることもないんだ」


そう思うと安心して働ける。
紫苑の経営するオフィスだというのが納得出来ないところだけど、彼に恥をかかさない程度に仕事だけはしてやろうと頭の中で決めた。