「大丈夫だ。優しく扱う」


安心しろ…と耳元で囁く。
私は彼の首に腕を巻き付けながら頷き、続きはお風呂を済ませてからにして…と言った。


「今直ぐがいいんだけど」


「それは絶対に嫌っ!」


幼馴染みでも勘弁して欲しいと願った。
紫苑は「ちっ」と舌を打ち、詰まらなそうに唇を尖らせていた。



入浴後、昨日のようにベッド上で転がり、小さい頃の思い出話を始める。

お互いの記憶が重なるところでは笑い声も出て、たまには耳の痛いことや聞きたくない事も話し合った。



「……つまり、昼間見かけた支店長には、胸しか触られてねえんだな?」


他には何もされてないか、と心配する紫苑に「うん…」と小声で返事する。
大きく安堵する溜息が聞こえ、私は紫苑の腕の中で、彼の顔を見上げた。


「……良かった。その程度のことで済んで」


私の気が弱かったら、逃げれなかったかもな…と呟く。
「そういう慰め方ってないんじゃない!?」と怒れば、ぎゅっと抱き締めてきて。


「馬鹿。それ以上のことをそいつがしてたら、俺は今からでも殴り倒しに行くよ」