炊き上がりは明日の朝。

出かける前にタッパーに詰めて冷ませておいてから冷蔵庫に入れておく。そしたら帰ってから作るのは、卵の方だけでいい。



(頭いいな、私。いい奥さんになれそうじゃん)


自分で思いつつ急に恥ずかしくなる。
紫苑の奥さんになるつもりで思った訳じゃないが、そういう感じにも取れてしまう。


顔の表面が熱くて、火でも出てるように思えて掌で頬を覆う。

こういうところを紫苑に見られたら絶対に揶揄われそうだ…と考えながら、そう言えば紫苑は何をしてるんだろう…と振り向いてみた。



「あっ、あんな所で寝て」


テレビの前でゴロ寝をしてるのを発見し、紫苑…と声をかけようとしたんだが、あまりにもグッスリと寝入り込んでるもんだから呆れて。


でも、考えてみたら昨夜も多分遅くまで仕事をしてたのに、今朝は早くから家に来て、そのまま此処で荷物の片付けと買い物へ行った。

だから満腹になって疲れが出たんだろう…と思い直し、寝室からタオルケットを持ってきて掛けてやった。


「風邪引くよ」


たまには優しく言ってみるかと声にした。
紫苑には聞かれてないと思ったからなのに。